🏃 Mt.FUJI100完走シリーズ(全5回)
このシリーズでは、2026年Mt.FUJI100(FUJI100mi/約165km・累積+6,461m)を完走した記録を、5本の記事に分けて残しています。
- 参戦記 ─ 100マイルの記録(本記事)
- 事前準備編:トレーニングとエントリーの一年
- 100マイルの装備レビュー ─ 実際に使って良かったギア
- Garminで振り返るMt.FUJI100 ─ ペース・心拍・累積標高
- 走り終えて気づいたこと ─ 補給とペーシングの教訓
2026年4月24日(金) 17:30(第3WAVE)、富士山こどもの国をスタートするMt.FUJI100(FUJI100mi)に挑戦してきました。距離は約165km、累積標高は+6,461m、制限時間は44時間30分。富士山の西側から北側を通り、東側に抜けるコースを、一晩を二回越えて、ゴールの富士北麓公園まで進む大会です。
この記事では、コースで何を見て、エイドで何を食べ、どの場面で迷ったのかを、時系列で記録としてまとめます。100マイルレースを覗いてみたい方、来年以降に挑戦するかもしれない方に届けばと思っています。

1. 大会概要 ─ Mt.FUJI100(FUJI100mi)とは
Mt.FUJI100(FUJI100mi)は、富士山の周囲を西から北側を通り、東側まで走行するように設計された100マイルのトレイルランニングレースです。世界の主要トレイルレースで構成されるシリーズ「World Trail Majors」の対象大会でもあり、海外からの参加者も多い大会でした。
2026年大会の主な数字は次の通りです。
- 距離:約165km(公式コースプロファイルでは165.3km、レース告知やrunnetのページでは167kmと表記される場面もあります)
- 累積標高:+6,461m
- 制限時間:44時間30分
- スタート:4月24日(金) 富士山こどもの国(静岡県富士市)。スタートはWave制で、第1WAVE 17:00/第2WAVE 17:15/第3WAVE 17:30/第4WAVE 17:45の4本立て。私は第3WAVE 17:30の出走でした。
- フィニッシュ:富士北麓公園(山梨県富士吉田市)
コース上にはF1からF8まで番号が振られたエイドが置かれていて、F1富士宮、F2麓、F3精進湖、F4富士急ハイランド(ハナマルキ/TNFエイド)、F5忍野、F6山中湖きらら、F7二十曲峠、F8富士吉田、と地名を辿るように繋がっていきます。最も標高の高いエイドはF7の二十曲峠で1,144m。コース最高地点はF7通過後の杓子山(1,598m)で、F7とF8の間に控えています。富士山周辺の里と山の境目を、何度も上り下りしながら一晩二晩かけて回るコース、と言ってよさそうです。
2. スタートまで ─ 受付・前夜・スタートライン
第3WAVEは17:30にスタートします。受付会場の富士北麓公園行きのバスは朝8:30発で、スタートまで9時間ほど時間があります。
受付会場の富士北麓公園には11:00過ぎに到着しました。EXPOを楽しんでいるうちに脚が疲れてしまうと、夜の序盤に響きます。横になれる場所を見つけて、こまめに休む。日差しがあるときは木陰に入る。前夜にしっかり眠れていなかった分も、ここで少し取り戻す時間にしました。
お昼すぎ、公式シャトルバスでスタート会場の富士山こどもの国へ移動します。スタートまでは残り数時間、引き続き脚を温存しながら待機する時間です。
17:30の号砲が鳴ったときには、もう夕方に変わり始めていて、走り出して2時間もしないうちに日が落ちます。最初の関門F1(25.8km地点)に着いた頃には、すでに完全な夜でした。
3. スタート〜粟倉(〜16.3km):日が暮れるまでの足慣らし
スタート直後は人の流れに沿って走るだけで、自然とペースが上がりがちです。後ろから来る人もいれば前を行く人もいて、つい「自分も少し前へ」と意識が動きました。ただ、ここでの目標は「物足りないくらい」のペースに留めること。まだ160kmあると分かっていながら、つい周りのランナーの速さにつられそうになる場面もありました。+6,461mの累積標高を一晩二晩かけて消化することを考えると、自分にとって序盤に作った貯金は後半まで持たない、と大会前から自分に言い聞かせていたからです。
序盤のコースは、林の中の登りと、開けた区間が交互に来ます。前後にランナーが連なるので、自分のペースを保つには、声に出して「歩く」「走る」を意識する場面もありました。気温は走るには少し高めで、汗の引き具合も気になり始めます。ボトルの水を一口ずつこまめに、塩分も早めに、と決めていた通りに口に運びました。
16.3km地点の粟倉を通過する頃には、だいぶ暗くなっていました。ヘッドライトはスタート前から装着し、暗くて走りにくくなれば、いつでも点灯できる状態にしておくと安心です。
4. F1 富士宮 GENSHIJIN CAMP SITE(25.8km, 4/24 20:48頃)〜 F2 麓(52.4km, 4/25 04:15頃):一晩目に入る
F1富士宮 GENSHIJIN CAMP SITEに着いたのは、スタートから約3時間18分後の20:48頃でした。完全な夜です。エイドではドリンクの補充と、ジェルの追加を確認するくらいで、長居はしませんでした。この時はまだ想定以上のペースでしたが、疲労も気になるほどではありませんでした。
F1からF2麓までは約26.6km。この区間を暗い状態で進みますが、他のランナーのヘッドライトもあり、足元に不安はありませんでした。
夜のトレイルは、距離感が掴みにくくなりますが、コース表示のテープがあり、ロストする心配はありませんでした。気温も明らかに下がってきていて、止まると寒く、走ると汗ばむ、という微妙な体温調節が続きます。ジャケットを着るほどではない、でも何もないと寒い。思いの外、立ち止まっても寒くて走れなくなる心配がなかったのは、腹巻きをしていたおかげかなと思います。腹巻きはスタートからゴールまで、巻いたままで快適に走れました。そのほかでは、アームウォーマーやジャケットで微調整できる装備を持っていてよかったです。
F2麓に到着したのは04:15頃。一晩目の終わりに近い時間帯で、一番暗い時間です。F2では温かい飲み物をいただき、30分弱ほど滞在しました。一晩目がまだ明けないうちに、もう一度走り続けることになります。

5. F3 精進湖(74.0km, 4/25 10:59頃):本栖湖と富士山、雑炊で立て直す
F2麓を過ぎてしばらくすると、夜が明けていきました。脚は疲労が出てきましたが、それでも走れる場所は走りながら進む時間です。明るくなって周りが見え始めると、ヘッドライトのなかった世界がどれだけ広いかを思い出します。麓から精進湖までの区間で、コースは本栖湖の縁を通ります。

本栖湖を見下ろすポイントで、向こう岸越しに富士山が見えました。手前に松の枝がかかって、ちょうど絵を縁取るようなフレームになる場面です。富士山の山肌にはまだ雪が残っていて、湖面は風がなく落ち着いていました。立ち止まって写真を撮る人が、私を含めて何人かいました。眠気と疲労はありましたが、夜明けの綺麗な富士山が見えて「ここまで来てよかった」と素直に思える時間でした。

写真を撮ってからまた歩き始めると、現実に戻ります。これからまだ100km近くあるという事実は変わりません。それでも、こういう一場面を「覚えている」と言えるだけで、後の数時間の励みになりました。
F3精進湖エイドに着いたのは10:59頃。ここで雑炊をいただきました。スタッフの方が「温かいうちに食べてね」と言いながらカップを手に取りました。温かい食べ物が食べられたことは、後半の数時間にじわじわ効いてくれた感覚があります。F3での滞在は54分。少し横になって仮眠を取り、再び動き始めたのが11:53でした。
6. F4 富士急ハイランド/ハナマルキ・TNFエイド(96.9km, 4/25 16:04頃)〜 F5 忍野(113.2km, 4/25 19:30頃):日没とともに二晩目へ
F4 富士急ハイランド(ハナマルキ/TNFエイド)に着いたのは、4/25の16:04頃。約100km地点です。ここから先は、写真がほとんど残っていません。カメラを向ける余裕がなくなっていました。ここからしばらくはテキストでの記録だけで進みます。
F4ではとろろわかめ味噌汁をいただきました。数種類あるメニューの中から、胃に優しそうなものを選んだ形です。ジェルが入らなくなる前兆は、F3を出てから少しずつ出ていて、F4の汁物が体に入ってくれました。20分ほどで再スタート。F4を出ると、ちょうど日が傾いていきます。二晩目が始まる時間帯でした。
F5忍野に着いたのは19:30頃。スタートから26時間が経過していました。ここはドロップバッグの受け取りエイドで、楽しみにしていたカップラーメンが入っていましたが、ジェルも受け付けなくなっていたため、お湯を入れることもありませんでした。準備したものが食べられないのは、ロングレースで時々ある体験ですが、実際に経験してみると、想定していた以上に体は弱っていました。代わりに、エイドで配られていた汁物を少しずついただいて立て直しを図りました。ドロップバッグの中身については、記事5:走り終えて気づいたことで詳しく書きます。
F5での滞在は1時間19分。短い仮眠を挟んで20:49に再スタートしました。眠気と胃の重さが重なって、誰かと話していないと前へ進めない時間帯でした。同じくらいのペースのランナーと並走しながら、お互いに「次のエイドまで」「次の登りの上まで」と目標を区切って進みました。リタイアの二文字が頭をよぎる場面もありましたが、エイドの温かい食事と、一緒に進んでくれるランナーに助けられて先へ進めました。
7. F6 山中湖きらら(122.5km, 4/25 22:57頃)〜 F7 二十曲峠(135.2km, 4/26 04:09頃):深夜から夜明け前へ
F5を出てから次のF6山中湖きららまでは、約9km。距離としては短いはずですが、二晩目ということもあり長く感じる区間でした。思いの外、山から降りてきた方が風が冷たく感じ、ジャケットを羽織り直す場面もありました。F6に着いたのは22:57頃。豚汁とおにぎりが配られていて、F4の頃には厳しかった脂もここでは食べられました。
F6では1時間22分ほど滞在し、仮眠を取りました。仮眠用のテントには、すでに何人かのランナーが横になっていました。タイマーをセットして、短時間でしたがここでの仮眠が一番充実していたと思います。F5・F6の二つのエイドで合計2時間42分以上を過ごしていて、寝ている時間が大半でした。当時は「少し休んで元気を取り戻そう」としか思っていませんでしたが、結果的にはこの仮眠がF7の登りを越える脚を残してくれた気がします。
F6を再スタートしたのは、日付が変わった4/26 00:20頃。ここからF7二十曲峠までは約12.7km、登りが続きます。二十曲峠は標高1,144m、コース上で最も標高の高いエイドです。数週間前のコースの崩落により、若干コースが変わっています。
暗闇の中の登りは、ペースの感覚が鈍ります。ヘッドライトの照らす範囲だけを見つめて足を動かし、途中、立ち止まって呼吸を整える場面が何度もありました。同じことを繰り返している人が前後にも何人かいました。
F7に着いたのは04:09頃、夜明け直前でした。峠の上では空が少しずつ薄くなり始めていました。F7を出た先には、コース最高地点となる杓子山(1,598m)への急登がさらに待っていて、そこは平地なら歩行速度より遅いペースで上がっていく区間がありました。それを越えて山を降り始めると、登りが終わったというだけで、心理的にはずいぶん楽になりました。
8. F8 富士吉田(146.8km, 4/26 07:55頃):吉田うどんで終盤へ
二十曲峠を越えて山を降りていくと、徐々に空が明るくなっていきました。林の中も明るくなり、ヘッドライトを消せる時間です。
F8富士吉田に着いたのは07:55頃。146.8kmまで進んできたところで、街に降りてきました。郊外の道路や住宅の間を抜けてエイドに入っていく流れで、二晩越えた格好で日常の風景の中を走るのは少し不思議な感じでした。
ここでは名物吉田うどんをいただきました。スタートから約38時間、二晩を越えた体に、温かいうどんが入りました。ジェルは受け付けず、温かい汁物系だけは通る、という状態です。ゆっくり噛んで、食べた記憶があります。
F8滞在は約27分。08:23に再スタート。残りは霜山を登って富士北麓公園まで19km弱。歩く割合が増えるのは仕方ないとして、走れる場所では走る、そんな意識で最後の区間を進みました。
9. フィニッシュ ─ 富士北麓公園(165.3km, 4/26 12:39頃)
F8富士吉田を出たあとの18.6kmは、明るい時間帯に街と林を抜けながら進む区間でした。脚は徐々に動くようになってきました。ゴールが近いと元気が出てきます。一緒に進んでくれていたランナーたちと、たまに言葉を交わしながら、少しずつ距離を消化していきました。
終盤は地元の方が沿道で声をかけてくださる場面が増えました。
富士北麓公園に入って、トラックに入ったらすぐにフィニッシュ。経過時間は43:09:16でした。制限時間44時間30分の中で、ゴールできました。
「やり遂げた」というよりは、「無事に走り切れた」というのが、その時の感覚でした。ゴール直後はその場に座り込みたい状態でした。一緒に進んでくれたランナー、エイドで温かい食事を出してくれたスタッフとボランティアの方々、コース上で声をかけてくれた地元の方々、そして、ここに辿り着くまでの一年を支えてくれた家族やたくさんの人の手が無ければ、165kmは終わらなかったと思います。
フィニッシュテープの先のテントにはFINISHERフォトブースが用意されていました。ここで撮ってもらった一枚を、本記事の最後に小さく添えています。

10. 数字でみるMt.FUJI100
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 距離 | 約165km(公式高低図165.3km/レース告知167km) |
| 累積標高 | +6,461m |
| 制限時間 | 44時間30分 |
| 完走タイム(グロス) | 43:09:16 |
| 平均ペース | 15:31/km |
| 制限時間に対する余裕 | 約1時間20分 |
累積標高の本文値は公式コースプロファイルの+6,461mを採用。Garmin Connect計測値(+7,688m)との差や、各エイドのスプリット・心拍ゾーンなど走行データの詳細は記事4:Garminで振り返るMt.FUJI100で扱います。
11. シリーズ次の記事へ
- 2. 事前準備編:トレーニングとエントリーの一年
- 3. 100マイルの装備レビュー ─ 実際に使って良かったギア
- 4. Garminで振り返るMt.FUJI100 ─ ペース・心拍・累積標高
- 5. 走り終えて気づいたこと ─ 補給とペーシングの教訓

次の記事:「事前準備編:トレーニングとエントリーの一年」(公開予定)
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このシリーズは、これからMt.FUJI100に挑戦する方や、100マイルレースの世界を覗いてみたい方に向けて書いています。

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