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Garminで振り返るMt.FUJI100 ─ ペース・心拍・累積標高

🏃 Mt.FUJI100完走シリーズ(全5回)

このシリーズでは、2026年Mt.FUJI100(FUJI100mi/約165km・累積+6,461m)を完走した記録を、5本の記事に分けて残しています。

  1. 参戦記 ─ 100マイルの記録
  2. 事前準備編:トレーニングとエントリーの一年
  3. 100マイルの装備レビュー ─ 実際に使って良かったギア
  4. Garminで振り返るMt.FUJI100 ─ ペース・心拍・累積標高(本記事)
  5. 走り終えて気づいたこと ─ 補給とペーシングの教訓

2026年Mt.FUJI100(FUJI100mi/約165km)を完走したときの走行データを、Garmin Connectから書き出して振り返ります。

「感覚としてあった疲労や眠気」と「数字で見える実際の動き」を突き合わせると、次のレースに向けた手がかりが見えてきます。データ系の振り返りに興味がある方の参考になればと思っています。

目次

1. 全体サマリー

使用機種は Garmin(ガーミン)fenix 8 – 51mm AMOLED(ソフトウェア 21.39)です。GPSモードは省電力寄りの設定で運用しました。

項目Garmin計測公式/runnet値
距離171.81 km約165km(公式高低図165.3km/runnet表記167km)
タイム43:00:0543:09:16(runnet公式)
経過時間(停止含む)43:21:17
移動時間(停止除く)33:25:48
平均ペース(停止込み)15:01 /km15:31/km(runnet公式)
平均移動ペース11:40 /km
勾配調整後の平均ペース(GAP)12:38 /km
累積標高(上り)+7,688 m+6,461m
累積標高(下り)-7,552 m
最低高度/最高高度475m / 1,592m
平均心拍109 bpm
最大心拍166 bpm
推定消費カロリー15,717 kcal
推定発汗量14,391 ml(約14.4L)
平均気温/最低/最高18.3°C / 12.0°C / 30.0°C

距離は公式より+約4.8〜6.5km長く、累積標高も+約1,200m多い結果になりました。これはGPS精度(細かいジグザグを拾う)や気圧高度計の特性によるもので、100マイルレースでは典型的な乖離パターンです。記事中は 公式値(約165km・累積+6,461m) を主に採用し、Garmin計測値は走行データの振り返り用として扱います。

バッテリーはスタート99%→ゴール33%。43時間9分を途中充電なしで記録し切れました。Garminの「スタミナ」(体力残量の推定値)は開始99%→終了1%と、ほぼ使い切る形で終わっていて、出し切った体感と数字が一致していました。二晩越えのレースでも、省電力設定なら電池は十分持つ手応えです。

平均ペースは「停止込み15:01/km」と「移動のみ11:40/km」で約3.5分/kmの差があります。この差が、43時間のレース中に約9.5時間が停止/仮眠/エイド滞在に充てられたことを示しています。

2. ペースの推移

173ラップのGarminデータを10km区切りに集計したスプリット表です。区間タイムの長短は、走行ペースだけでなく エイド滞在(停止)時間 も含むため、「動いている速さ」と「全体のリズム」両方を反映しています。

区間km区間タイム累積タイム区間ペース区間累積標高平均HR主な出来事
10–101:02:181:02:186:14/km+132m133スタート、走り基調
210–201:28:272:30:458:50/km+231m135序盤の登り入る
320–301:33:254:04:109:21/km+178m134F1富士宮付近を通過
430–403:37:197:41:2922:14/km+1,168m ⛰️130序盤最大の登り区間(35km地点で約27分の停止と低速走行)
540–502:30:0010:11:2915:00/km+342m113標高の高い区間
650–601:59:3412:11:0312:51/km+266m113夜間に入る
760–702:57:0915:08:1217:43/km+808m118大きな登り
870–803:29:3718:37:4920:58/km+391m100F3精進湖で約51分の仮眠
980–901:51:4920:29:3811:11/km+403m114仮眠後のペース回復
1090–1001:47:0322:16:4110:42/km+220m116朝方の “second wind”
11100–1102:01:2824:18:0912:09/km+259m114F4富士急ハイランドで約17分滞在
12110–1203:11:2327:29:3219:08/km+381m109F5忍野で約70分の仮眠
13120–1303:38:0231:07:3421:48/km+493m100F6山中湖きららで約78分の仮眠
14130–1402:43:5633:51:3016:24/km+668m99二晩目の登り
15140–1503:54:1737:45:4723:26/km 🐢+765m104F7二十曲峠通過後、杓子山(1,598m)への急登区間で約39分の超低速走行(平地なら歩行速度より遅い区間あり)
16150–1602:23:4240:09:2914:22/km+435m104F7後の下り、F8富士吉田で約18分滞在
17160–1702:20:4242:30:1114:04/km+440m109終盤の最後の登り
F170km〜ゴール(約2.74km)0:29:5443:00:0510:55/km+108m123フィニッシュへ

区間データから見える3つのこと

1. 最速は最初の10km(6:14/km)、最遅は140-150km区間(23:26/km)
スタートのアドレナリンと、終盤の累積疲労+登りの差が明確に出ました。最遅区間は F7二十曲峠通過後の杓子山(1,598m/コース最高地点)への急登 を含み、平地なら歩行速度より遅い区間がありました。

2. 仮眠後のペース回復が顕著
F3精進湖(70-80km、20:58/km)で仮眠を取った後、80-90km(11:11/km)と90-100km(10:42/km=レース全体で2番目に速い)にペースが大きく戻っています。仮眠は時間ロスではなく、その後の走力を回復させる投資 であることがデータで裏付けられました。

3. 後半71kmは中盤より速い
前半50km:14:38/km・HR 122 / 中盤50km(70-150km):17:17/km・HR 105 / 後半71km:15:25/km・HR 108 という分布です。最も遅かったのは中盤(仮眠と二晩目の登りが集中する区間)で、終盤は仮眠で立て直して持ち直した パターン。100マイルレースでは「仮眠を含む中盤こそが最遅」という構造が見えてきます。

本文シリーズで繰り返し出てきた「F4以降ジェルが入らなくなった」「F5・F6で長めの仮眠を取った」といった出来事と、上のペース推移を重ねて見ると、補給と仮眠の戦略が次のレースでどう調整するかの材料になります。

3. 心拍とゾーン

心拍ゾーン分布は、長時間レースの「楽に走れていた時間/頑張りすぎていた時間」を可視化してくれます。

ゾーン心拍範囲滞在時間割合
Z5(エキスパート)>173 bpm0:000%
Z4(ハード)160-172 bpm0:05:500%
Z3(モデレート)148-159 bpm1:33:243%
Z2(イージー)135-147 bpm3:50:108%
Z1(リラックス)123-134 bpm6:29:0815%
Z1未満<123 bpm約31時間約74%

平均心拍 109 bpm/最大心拍 166 bpm。100マイルレースの定石としては「Z1〜Z2の中で粘る」とされますが、今回のデータはZ1未満が74%という結果でした。

これは「サボっていた」という意味ではなく、100マイルレースは”走る競技”より”歩く競技”の側面が大きい ことを示しています。実際、Garminのラン/ウォーク/休憩の検出値も:

  • ラン時間:10時間39分44秒(24.8%)
  • ウォーク時間:24時間02分42秒(55.9%)
  • 休憩時間:8時間17分39秒(19.3%)

という比率で、ラン1:ウォーク2.3:休憩0.8 の構成です。

Z3〜Z4を使った場面(合計約1時間40分)

Z3以上の高負荷ゾーンに入ったのは合計約1時間40分。これは主にスタート直後の興奮(最初の10km)と、登り区間の踏ん張りどころ に集中していました。後半に向かうほど、心拍は109 bpmの平均値を下回って動く時間が増え、「動けるけれど身体の反応が鈍くなっていく」状態が読み取れます。

二晩目(F4以降)の心拍の動き

F3精進湖の仮眠(70-80km区間)後、80-100km区間で 心拍がZ1〜Z2レンジに戻り、ペースも回復。一方、F5忍野・F6山中湖きららでの長時間仮眠を経た後(120-150km区間)は、心拍が 平均99-104bpm(Z1未満) で推移しており、これは「省エネモードで完走に向けて粘る」フェーズに切り替わっていたことを示します。最後10kmの平均HR が 109bpm、ラスト1.81kmが 123bpm と上がっているのは、フィニッシュへ向けた最後の一押しです。

4. 累積標高と登坂力

Mt.FUJI100の累積標高は公式+6,461m。Garmin計測では +7,688m と記録されました(差分+1,227m)。Garmin(特に気圧高度計)は登り基調の細かい波を拾うので、トレイルレースでは公式値より大きめに出るのが通例です。

数字の上での最高地点は後半・杓子山への登り(1,592m)ですが、体感で一番きつかったのは序盤の天子山地でした。F1富士宮からF2麓にかけての約26.6kmと長い区間で、当日は雨上がりで足元がぬかるみ、一歩ごとに滑らないよう気を使うぶん、想定以上に脚も気持ちも削られた記憶があります。「最高標高の登り」と「一番こたえた登り」が必ずしも一致しないのも、ロングトレイルらしいところです。

コース上の高度の変化

  • 最低高度:475m(コース最低地点)
  • 最高高度:1,592m(杓子山1,598mへの登り区間/F7二十曲峠(135.2km)通過後、F8富士吉田(149.1km)の手前)
  • 標高差:1,117m
  • 総上昇:+7,688m / 総下降:-7,552m(ほぼ同じ=スタートとゴールの標高がほぼ同等)

コース最高地点はF7二十曲峠(1,144m/最も標高の高いエイド)ではなく、F7通過後の杓子山(1,598m) です。Garminの最高高度1,592mはこの杓子山ascent中の記録(杓子山頂上の公式標高1,597.6mとほぼ一致)。

主要な登り区間(10km区切りでの累積標高 上位5区間)

区間km累積標高(上り)区間ペース通過時間区間の特徴
1位30–40km+1,168m22:14/km3時間37分序盤最大の登り(F1〜F2間)
2位60–70km+808m17:43/km2時間57分F3精進湖手前の登り
3位140–150km+765m23:26/km3時間54分杓子山(1,598m)への急登
4位130–140km+668m16:24/km2時間44分F7二十曲峠への登り
5位120–130km+493m21:48/km3時間38分F6山中湖→F7間の登り

登り区間から見えた3つのこと

1. 最大の登りは30-40km区間(+1,168m)
ここで一気に標高を上げており、序盤のうちに大きな登りを経験する設計です。F2麓のエイドでの滞在を含むため区間タイムが長く出ていますが、登り自体の難度も高い区間です。

2. 二晩目(120-150km)に登りが集中
120-150kmの30km区間で +1,926m(区間3〜5位の合計)登っています。この区間は F5忍野・F6山中湖での長時間仮眠+F7二十曲峠(1,144m)からの杓子山(1,598m)への急登 が重なり、レース後半の体力消耗を最も実感した部分です。

3. 終盤160-170km(+440m)の最後の登り
ゴール手前の最後の登り(おそらくF8富士吉田 → 霜山 → ゴールへの区間)も、標高差440mと侮れない登り。終盤に「あとどれくらい登るのかが読めない」状態だったのが、この区間の感覚と一致します。

助かったのは、F3精進湖以降の下り基調区間(80-100km、平均10:42〜11:11/km)で、仮眠と下りの組み合わせでペースが大きく回復した場面です。

5. エイド滞在の数字

Garminのラップ単位の停止時間データから、各エイド滞在時間を再構成しました。runnetの公式タイムリストとも概ね一致しています。

エイド公式km(高低図ベース)累積時間(推定)Garmin推定停止runnet公式
F1 富士宮 GENSHIJIN CAMP SITE25.8km約3:30約14分短時間(ドリンク補充)
F2 麓52.4km約12:00約16分(lap 54-55合算)約26分
F3 精進湖74.0km約18:00約51分約54分
F4 富士急ハイランド(ハナマルキ/TNF)96.9km約22:00約17分約20分
F5 忍野113.2km約26:00約70分約1時間19分
F6 山中湖きらら122.5km約30:00約78分約1時間22分
F7 二十曲峠(最高地点のエイド/1,144m)135.2km約34:30通過のみ通過のみ
(F7後)杓子山1,598m急登F7→F8間約36:30約39分の超低速走行
F8 富士吉田146.8km約39:30約18分約27分
フィニッシュ165.3km(公式高低図)/171.81km(Garmin)43:00:05

※ Garmin距離は公式高低図より +約6.5km 長く計測されているため、上記の累積時間は公式エイド到達想定の概算です。Garminラップ単位の停止時間と照合した結果、各エイド位置の長時間停止パターンが概ね一致しています。

仮眠と長時間滞在の合計

Garminデータから推定した、まとまった仮眠/滞在時間の合計

  • F3精進湖(約51分)+F5忍野(約70分)+F6山中湖(約78分)+杓子山ascent超低速区間(約39分)= 約4時間
  • これに小エイドの停止(F1+F2+F4+F8で計約65分)を加えると、滞在系合計で約5時間

Garmin全体の「休憩時間」は 8時間17分39秒(19.3%)と記録されているので、上記5時間以外の 約3時間 は、トレイル上の細かい立ち止まり(補給・呼吸・水分・装備調整)と、序盤30-40km区間の急登での停止に充てられていたことになります。

「仮眠は時間ロスか、走力回復への投資か」

実感としては「短時間しか寝ていない」と思っていても、データで合計すると F3(約51分)+F5(約70分)+F6(約78分)だけで約3時間20分 になっていました。一方、これらの仮眠の 直後の区間(F3後の80-100km、F6後の130-140km)はペースが大きく回復 しており、仮眠は単なる休憩ではなく 走力回復への投資 として機能していたことが見えてきます。

100マイルレースの戦略として、「仮眠を意図的にプランに組み込む」ことの効果が、データで裏付けられた一例でした。

6. このデータから次にやること

Garminデータを振り返って、次のレース(または次のロングトレイル)に向けて変えたいことを書き出しておきます。今回のデータが教えてくれた「弱点と伸びしろ」を、次の練習計画に落とし込む作業です。

1. ロング走の組み立て直し ─ 月1〜2回のトレイルロング走を意図的に

今回の一年は 「月にレースを1本入れて距離・累積標高を稼ぐ」 スタイルで走り切りましたが、Mt.FUJI100コース試走の機会は確保できず、特に トレイルでの長時間走の絶対量 が不足していた感覚があります。

次回に向けては、月1〜2回の意図的なトレイルロング走(30〜50km/累積標高+1,500m以上) を計画に組み込みます。レースの試走会や友人との練習会など、機会を作って 「単独・長時間・登り基調」 の練習を増やしていきたいです。

2. 心拍と補給の関係を意識した練習 ─ Z2(135-147 bpm)長時間走の導入

今回の心拍データでは、Z1未満(<123 bpm)が 74% でした。これは100マイルレースとしては妥当な数字ですが、「Z2をきれいに維持して走り続ける筋持久力・心肺持久力」 をもっと鍛えれば、ペースを保ちながら累積疲労を抑えられる可能性があります。

次回に向けては、Z2(135〜147 bpm)を維持した長時間走を月数回 入れる予定です。普段は時間や距離を目安にジョグを組んでいましたが、今後は 心拍をベースにした強度コントロール を取り入れて、補給とエネルギー消費の関係を体感的に掴んでいきたいです。

3. 二晩を越える運用の事前テスト ─ ファストパッキングで仮眠タイミングを試す

Mt.FUJI100で一番の発見は、「仮眠は時間ロスではなく走力回復への投資」 だったことです。F3精進湖(約51分)→直後の80-100km区間で平均10:42〜11:11/kmまでペースが回復したのが象徴的でした。

一方で、F5・F6での長時間仮眠(約70分・約78分)は、事前にどのタイミング・どの程度の長さが最適か を試したことがないままぶっつけ本番でした。次回に向けては、一晩越えのトレーニングレースやファストパッキングで仮眠タイミングを事前にテスト したいと考えています。具体的には:

  • 仮眠の 適切な長さ(30分/60分/90分)の比較
  • 仮眠 後の身体の戻り方(何分で動き出せるか/心拍がどう変化するか)
  • どの時間帯に仮眠を入れるとレース全体のリズムが整うか

これらを練習で1度でも経験しておけば、本番での仮眠戦略をデータと感覚の両方で組み立てられるようになります。

おわりに

100マイルは、データだけでは語れない部分が大きいレースです。それでも、走り終えた後にGarminで振り返ると、感覚と数字のズレや一致が見えてきて、次のレースに向けた手がかりになります。

シリーズ最後の記事5:走り終えて気づいたことでは、補給・仮眠・ドロップバッグの教訓をまとめています。


次の記事:「走り終えて気づいたこと ─ 補給とペーシングの教訓」(シリーズ最終回/公開予定)

📂 関連カテゴリ:レース参戦記

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このシリーズは、これからMt.FUJI100に挑戦する方や、100マイルレースの世界を覗いてみたい方に向けて書いています。

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この記事を書いた人

smileのアバター smile 作業療法士|生活を整えるランナー

作業療法士として人の生活を整える仕事をしています。

これまではトレイルランやマラソンの記録やノウハウを発信してきましたが、走り続ける中で気づきました。
本当に大事なのは「速さ」ではなく、「続けられる生活」だということ。

今は、走ることを通して生活や心を整える方法を発信しています。
やる気に頼らず、無理をせず、それでも続く。

帰宅ランやトレイルランで実践中。

運動が苦手な人、続かない人へ。
5分からでも、人生は変わります。

100マイル完走を目指して挑戦中。

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